【ビジネス寓話シリーズ】「町のネズミと田舎のネズミ」営業において重要な隠された2つの教訓

2021.09.12

齋藤英人
レゾンデートル株式会社 代表取締役
『行動創造理論』第一人者
自らが開発した「行動創造理論」を活用し企業研修、公開講座、ビジネス講演など年間100回以上登壇をしており、大手企業や成長企業を中心に営業力向上と売上拡大に力を注いでいる

 

あなたは営業に重要な2つの教訓を見つけ出せますか?

 

 

今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。

 

 

「町のネズミと田舎のネズミ」
というお話です。

 

 

どんな教訓があるのでしょうか?

 

 

———————————————-

ある静かでのどかなところに
「田舎のネズミ」
が住んでいました。

 

 

田舎のネズミは、ある日、まちのねずみへ手紙を書きました。

「町のネズミくんへ。いちど、田舎にも遊びに来てください」

 

 

その手紙を読んだ町のネズミは、すぐに田舎へと遊びにきました。

 

 

「やあ、田舎のネズミくん。遊びにきたよ」

田舎のネズミは大喜びです。

 

 

町のネズミへご馳走を振舞います。

 

 

振舞ったごちそうは
野菜の切れはしや、木の実」
でした。

 

 

それを見て、町のネズミはため息をつきます。

 

 

「君はいつもこんなまずそうなものを食べているのかい?」

 

 

町のネズミは
「一度、町へきてごらんよ」
と田舎のネズミに声を掛けます。

 

 

そうして、田舎のネズミは、町のネズミに連れられて町へと向かいます。

 

 

町では大きな車が通っています。

田舎のネズミのには怖くてたまりません。

 

 

ぶーん!「わあっ」

 

 

田舎のネズミはすぐに、クタクタになっていました。

 

 

しかし、町のねずみの家へついてびっくりします。

 

 

テーブルの上には
「見たこともないようなご馳走」
が乗っていたのです。

 

 

「あれは、ケーキというんだよ。さあ、一緒に食べよう!」

町のネズミがそう言ったときでした。

 

 

ドシン、ドシン。

大きな足音がします。

 

 

「人間だ! 隠れよう!」

町のネズミは田舎のネズミ手を引いて、人間に見つからない場所へ隠れました。

 

 

「さあ、もう大丈夫。ご馳走を食べよう!」

 

 

そうして出て行くと、また人間の足音がします。

 

町のネズミと田舎のネズミは、また隠れなければなりません。

 

大丈夫だと思ったころに、出て行って、また隠れて…。

 

 

何度、繰り返したでしょうか。

 

 

やっと本当にごちそうにありつけたとき、田舎のネズミはもう疲れきっていました。

 

 

「どうだい、おいしいだろう!」
と町のネズミは言います。

 

 

「…あれ、田舎のネズミくん、顔色がよくないね?」

 

 

田舎のネズミ、いくらおいしいご馳走でも、楽しく食べられませんでした。

 

 

そして帰るときになって、こう言いました。

「やっぱり僕は、田舎の方がいいよ。ご馳走はなくとも、ゆっくり食べられるもの」

 

———————————————-

 

 

このお話は
「イソップ童話」
の一節です。

 

 

・身の丈に合った生活が一番

・好みは人それぞれで異なる

・ご馳走があることが幸せではない

 

 

こんな教訓が伝えられてきました。

さて、ビジネスの視点ではどんな教訓があるのでしょうか?

 

 

■まず1つ目の教訓は「価値」の在り方

 

 

町のネズミと田舎のネズミのお話では
「価値」
についての教訓があると思います。

 

 

同じものでも
「感じ方が異なる」
ということです。

 

 

このお話では
「食べ物」
の比較が出ています。

 

 

田舎では質素な野菜の切れ端や木の実

町ではケーキ

 

 

単純な機能比較で言えば
「町のネズミの食べ物」
の方が上になります。

 

 

ビジネスでは
「機能的価値」
と呼ばれるものです。

 

 

仕事ができない営業は
「機能的価値の大小」
でしかプレゼンテーションが出来ません。

 

 

ただし断言をします。

「機能的価値だけでは人の購買行動は決して起きない」

 

実際にこのお話でも
「おいしい食事」
だけでは満足せず、田舎に帰ってしまいました。

 

 

このお話では別の要素が組み合わされます。

 

 

田舎では安全

町では危険

 

 

食事をする環境の要素です。

 

 

田舎の食事→質素だが安全

町の食事→豪勢だが危険

 

 

田舎のネズミは
「安全」
を優先して田舎に帰りました。

 

 

生命の危険を感じるからです。

 

 

人が物を買うには
「本能に備わった欲求」
が満たす必要があります。

 

 

大きく分けると
「8つの欲求」
が存在しています。

 

 

あなたが何かを手に入れる時

あなたの提案がお客様に受け入れられるとき

 

 

必ず
「8つの欲求のうち、最低でも1つは満たされている」
ことが明らかになっています。

 

 

8つの欲求については、当コラムの別の記事で触れています。

ご興味ある方は検索してご覧ください。

 

 

 

■2つ目の教訓は「現状維持」の居心地の良さ

 

 

さて
「本能の欲求」
が優先されるならば、町のネズミも田舎に行くのでは??

 

 

上記のように思った方はいるでしょう。

 

 

しかし街にとどまるのは
「別の行動科学」
の働きが大きいからです。

 

 

脳のメカニズムと言ってもよいかもしれません。

 

 

町のネズミは
「危険ではあるが生きている」
という状態です。

 

 

言い換えれば
「まだ安全な場所」
と認識をしています。

 

 

逆に田舎のネズミはこれまでの環境と
「比較」
をするととても危険です。

 

 

人の脳というのは
「何かと比較をしないと評価できない」
という性質があります。

 

 

この寓話でも
「暗に伝えている点」
と言えるかもしれません。

 

 

まあ、このお話が書かれたころは、科学で明らかになっていませんが…

 

 

そしてネズミたちは比較して
「今ある環境」
を良いと思いました。

 

 

行動バイアスの中でも特に強力な
「現状維持バイアス」
が働いている状態といって良いでしょう。

 

 

価値は感じたものの
「今の方が良い」
と判断するのは生き物の本能の選択です。

 

 

営業がどんなに良い提案をしても
「決まらない要因」
の多くは現状維持バイアスがかかっているからです。

 

 

営業は
「現状維持バイアス」
を外す作業が必要なのですが、ほとんどの人は出来ていません。

 

 

そんな営業が契約を取れているのは
「お客様が変えることを決めた」
わずかな案件だけです。

 

 

町のネズミと田舎のネズミのお話には
「大きな2つの教訓」
が備わっていると思います。

 

 

ビジネスに役立つ重要な視点ですね。

 

 

今日はビジネス寓話シリーズ
「町のネズミと田舎のネズミ」
をお送りいたしました。

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行動創造理論第一人者
レゾンデートル株式会社代表取締役
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自らが開発した「行動創造理論」を活用し企業研修、公開講座、ビジネス講演など年間100回以上登壇をしており、大手企業や成長企業を中心に営業力向上と売上拡大に力を注いでいる

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